
Webアクセシビリティの基本|企業サイトが最初に確認する10項目
Web制作執筆・監修:株式会社AO
Webアクセシビリティは、障害の有無や利用環境にかかわらず、情報を得て操作を完了できる状態を目指す取り組みです。本記事はスマートフォンの使いやすさやフォーム改善だけに限定せず、企業サイト全体を初めて点検し、改善順を決める方法に焦点を当てます。
この記事で分かること
- WCAGを実務の点検項目へ落とし込む考え方
- 最初に確認したい10項目と確認方法
- 自動チェックと手動確認の使い分け
- 修正の優先順位と継続運用の作り方
重要な利用経路から始める
W3CのWCAG 2.2は、知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢という4原則の下に、検証可能な達成基準を示すW3C勧告です。デジタル庁の導入ガイドブックは、初めて取り組む事業者にも考え方と進め方を案内しています。まずトップ、主要サービス、料金、問い合わせ、採用など、事業と利用者の双方に重要なページと共通部品を対象にします。
法令上の義務や適用範囲は事業・サービス・契約によって異なります。本記事のチェックだけで特定規格への適合を宣言せず、必要に応じて専門家や当事者による確認を行ってください。
自動・手動・利用者確認を組み合わせる
| 方法 | 見つけやすい問題 | 限界 |
|---|---|---|
| 自動チェック | 属性不足、構造・色の一部 | 文言の適切さや操作体験は判断しにくい |
| 手動確認 | フォーカス、操作順、拡大、リフロー | 支援技術ごとの体験を網羅しにくい |
| 利用者確認 | 実際のタスク完了、理解や負担 | 全ページの機械的な網羅には向かない |
自動ツールでエラーがゼロでも、アクセシブルだとは限りません。W3CのEasy Checksも初回レビューであり、適合評価のすべてではありません。点数だけでなく、誰が、どのページを、どの操作で確認したかを記録します。
企業サイトが最初に確認する10項目
- ページタイトル:各ページに内容を識別できる固有のtitleを付けます。
- 見出し構造:h1〜h3等を内容の階層に合わせ、見出しだけでも概要を追えるようにします。
- 画像の代替テキスト:情報画像は目的を簡潔に説明し、純粋な装飾画像は読み上げを邪魔しない実装にします。
- 色とコントラスト:文字や操作部品を背景から識別できるようにし、エラーや必須を色だけで伝えません。
- キーボード操作:主要機能をキーボードで完了でき、部品内から抜けられない状態がないか確認します。
- フォーカス表示:現在選択中の項目が見え、視覚上の順序と移動順が大きく食い違わないようにします。
- リンクとボタン:「こちら」だけを並べず、行き先や動作が単独でも分かる名前にします。
- フォーム:ラベル、必須・任意、形式を示し、エラーは場所・問題・直し方をテキストで伝えます。
- 拡大・リフロー:拡大や狭い表示で、情報や操作部品が切れたり重なったりしないか確認します。
- 動画・音声・動き:内容に応じて字幕や文字起こしを用意し、不要な自動再生や点滅を避け、動きを停止できるようにします。
改善を進める6つの手順
- 対象と責任者を決める:重要ページ、共通テンプレート、外部サービス、PDFを一覧化します。
- 代表タスクを選ぶ:サービスを理解する、電話する、問い合わせるなど、完了すべき経路を決めます。
- 初回点検を行う:自動チェックに加え、キーボード、200%拡大、狭い表示、フォーム送信を確認します。
- 優先度を付ける:タスクを完了できない問題、全ページ共通の問題、利用頻度が高い問題を先に直します。
- 修正後に再確認する:前後の操作と主要な端末・ブラウザーで回帰がないか確認します。
- 更新工程へ組み込む:入稿テンプレート、デザイン部品、レビュー項目、問い合わせ窓口を整えます。
公開・更新時チェックリスト
- 固有のタイトルとh1がある
- 見出しだけで内容の構造を追える
- 情報画像に目的に合う代替テキストがある
- 色だけで状態・必須・エラーを伝えていない
- キーボードで主要タスクを完了できる
- フォーカス位置が見え、移動順が自然である
- リンクとボタンの行き先・動作が分かる
- フォームの説明とエラー修正方法が分かる
- 拡大や狭い画面でも情報と機能が失われない
- 動画・音声・動きに必要な代替・停止手段がある
- 確認ページ、環境、担当者、日付、未対応理由を記録した
よくある質問
自動チェックで100点なら完了ですか?
完了とはいえません。キーボード操作、代替テキストの意味、フォームの理解しやすさ、実際のタスク完了を手動でも確認します。
WCAG 2.2のAA準拠とすぐ表示してよいですか?
W3Cの適合は、対象範囲の全ページが該当レベルの要件を満たすなど、定められた条件に基づく主張です。ロゴもW3Cの審査・認証を示しません。範囲、版、レベル、確認方法を整理せず表示しないでください。
既存サイトはどこから直しますか?
問い合わせ不能、メニューを操作できない、内容を読めないなど、目的を達成できない問題を優先します。次に共通部品など、修正効果が複数ページへ及ぶ箇所を直します。
参考にした公式情報
- デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」
- デジタル庁「デジタル社会推進標準ガイドライン」
- デジタル庁「ウェブアクセシビリティ」
- W3C「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2」
- W3C WAI「Easy Checks」
- W3C WAI「Adding WCAG Conformance Logos」
確認日:2026年10月11日。実施時に最新の公式情報を再確認してください。
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更新日:2026年10月20日。公開前に主要な公式情報を再確認しました。